歴代の王座に君臨したスケーターたち、とりわけ羽生結弦が見せた4回転サルコウは、技術点だけでなく芸術的価値の極限を示す手本として今も語り継がれている。助走を極限まで削ぎ落とし、曲の盛り上がりに合わせて流れるように跳び、流れるように降りる。そのシームレスな表現力は、現在の若手選手たちにとっても最大の目標だ。
「跳ぶための助走」ではなく「音楽の一部としてのジャンプ」。この思想を受け継ぐ2020年代後半の次世代スケーターたちは、難度を高めることと作品としての美しさを保つことの境界線を打ち破ろうと試みている。