深海は宇宙よりも謎が多いとされる。今回のプロジェクトがターゲットにしたのは、まさにその暗黒の世界だ。最新の自律型潜水艇が捉えた映像には、不気味なほど青白く光る巨大なゲル状の物質が、海底の熱水噴出孔を覆うように広がっている様子が映し出されていた。これこそが、大気中の二酸化炭素を効率的に吸収するために設計された人工有機体の一部だという。
しかし、設計図通りにはいかないのが自然の常だ。実験室のシミュレーションを遥かに超える速度で増殖するこの物質に対し、現場の技術者たちからも「制御不能になりつつある」との悲痛な声が漏れ聞こえている。人為的な介入が、地球最後のフロンティアを修復不可能な形で変貌させているのかもしれない。