時計の針を少し巻き戻そう。発端となったのは、北海道新幹線開業PRプロジェクトだった。新駅「新函館北斗駅」の誕生を控え、北斗市役所は従来の枠組みにとらわれない斬新なプロモーションを模索していた。そこでタッグを組んだのが、情報デザイン分野で先端を走る公立はこだて未来大学である。
学生たちから提案された複数の候補作のなかで、一際異彩を放っていたのがこの寿司型の怪異だった。当時、プロジェクトの舵取りや審査に関わった関係者や池田達雄氏ら地域のリーダー陣の間でも、この大胆極まるデザインを採用すべきか激論が交わされたという。市民投票というフィルターを通した結果、市民自らが選んだのは最もアヴァンギャルドな選択肢だった。生半可な可愛さに逃げず、圧倒的な違和感を武器にする決断が下された瞬間である。