卵の黄身が2つ入っている現象は、養鶏専門用語で「二黄卵(におうらん)」と呼ばれます。この二黄卵が発生する基礎的な確率と、私たちがスーパーなどで購入したパック内で実際に出会う確率との間には、流通現場における明確なフィルターが存在します。
鶏卵の生産現場における統計データによると、鶏が産み落とす全卵の中で二黄卵が発生する割合は、全体平均でおよそ0.5%〜1.0%前後(100個〜200個に1個)とされています。しかし、この数字をそのまま家庭のキッチンに当てはめることはできません。店頭に並ぶ一般家庭用の10個入りパックの中で双子卵に遭遇する確率は、わずか0.01%〜0.05%(およそ2,000個から10,000個に1個)まで急激に低下します。
出現率がこれほど跳ね上がる背景には、日本の鶏卵流通を支える「GPセンター(Grading & Packing:鶏卵選別包装施設)」の存在があります。採卵された卵は集荷後、瞬時に洗浄・殺菌され、強力な光を透過させて内部の異常を検知する「光電式透光検卵装置」や、超音波・高精度カメラによる自動選別ラインを通過します。
二黄卵は後述するように通常よりもサイズが著しく大きく、内部の黄身の影が2つ映るため、近代的なオートメーションシステムにおいて機械的に検知され、規格外品として正規のM〜Lサイズパックのラインから高確率で弾かれます。つまり、家庭の食卓で二黄卵を割り当てる現象は、生物学的な発生確率の低さに加え、「高精度な選別網を偶然くぐり抜けて出荷された」という二重の偶然が重なり合って起きる極めて稀少な体験なのです。