「1階席なら前方であればあるほど良席」という直感は、有楽町よみうりホールにおいては必ずしも当てはまりません。これこそが、歴戦の観劇ファンが口を揃えて指摘する構造上の罠です。
1階席のA列からG列までの前方ブロックは床の傾斜がほとんどありません。千鳥配列(前後の座席が互い違いになる設計)が採用されているとはいえ、前の座席に座高の高い来場者が座った場合、演者の立ち位置や舞台中央の重要な芝居がちょうど頭と重なってしまう「センター被り」が生じやすいのです。間近で推しの息遣いを感じたいファンにとっては最前エリアは圧倒的な価値を持ちますが、舞台全体の演出や足元のフットワークまでストレスなく鑑賞したい人にとっては、視覚的な疲労感を伴う場合があります。
これに対し、編集部が有楽町よみうりホールの良席として最も推奨するのは「1階 H列〜M列のセンターブロック(13〜24番)」です。決定的な理由は、通路を挟んだH列・J列あたりから床面に明確な段差が設けられ、前の人の頭越しに視線がすっきりと抜ける設計になっている点にあります。このエリアは演者の目線と観客の視線がほぼ水平に交差する高さに位置しており、首への負担が少なく、照明や音響のバランスも劇場内で最も均整が取れています。「視界の遮られにくさ」と「肉眼で表情が捉えられる臨場感」を両立できる絶妙なスイートスポットと言えるでしょう。