平泳ぎの総推進力のうち、実に約7割を担うのがキックです。クロールや背泳ぎが腕のストロークを主動力とするのに対し、平泳ぎはキックの質が泳ぎ全体の成否を決定づけます。ここで多くの初心者がつまずくのが「足首の返し方」と、推進力が逃げてしまう「あおり足」の癖です。
平泳ぎの正しい足の動きは、単に後ろへ足を蹴り出すことではありません。最も重要なのは、かかとをお尻へ引きつけた瞬間、足首を直角に曲げてつま先を外側へ向ける「足首の背屈と外反」の形を作ることです。この足首の返しができて初めて、足の裏全体で水をしっかりと捉え、後方へ挟み込むように押し出すことができます。
一方、自己流で泳ぐ人に頻発する「あおり足(バタ足のように足の甲で水を下へ蹴ってしまう動作)」は、推進力がほぼゼロになるだけでなく、競泳ルール上でも失格の対象となります。平泳ぎあおり足の直し方として指導現場で推奨されているのが、プールサイドに腰掛けた状態での陸上反復ドリルです。
プールサイドの縁に座り、膝を肩幅程度に開いた状態で、かかとをお尻側に引き寄せて足首をしっかりと「ハの字」に曲げます。そこから円を描くように足裏で空気を後ろへ蹴り出し、最後に両足の親指をピタッと揃える一連の動きを筋肉に記憶させます。水中では「引きつける時は小さく抵抗を減らし、蹴り終わりで両足を鋭く挟み込んで板のように揃える」ウィップキックの軌道を意識することで、足裏に確かな水圧を感じる力強い推進力が生まれます。