なぜ、これほどまでにカカオとアルコールは引き寄せ合うのか。その問いに対するチョコとお酒のペアリング決定的な理由は、両者が共有する「発酵食品」としてのルーツにあります。
カカオ豆は収穫後、木箱やバナナの葉に包まれて数日間の発酵プロセスを経ます。この工程で酵母や酢酸菌が働き、ワインやウイスキーの原酒醸造時と酷似した複雑なエステル香や有機酸が生成されます。さらに、カカオバターに含まれる融点約34℃〜36℃の植物性油脂が、人間の体温で溶け出す際、アルコールの揮発作用によって香気成分が一気に鼻腔へと押し上げられるのです。
Bean to Bar(ビーントゥバー)の先駆者であるMinimal(ミニマル)などのクラフトチョコレート専門店が実証してきたように、素材をカカオと砂糖のみに削ぎ落とすことで、産地ごとのフルーティーさやナッティな個性が際立ちます。お酒に含まれる微細なアロマ分子と、カカオが放つ数百種類もの香気成分が重なり合う瞬間、単体では到達し得ない立体的な余韻が生まれます。