安岡との一連の騒動を経て、細木は自ら編み出したとされる「六星占術」をひっさげて出版界に打って出た。彼女の執筆した運命鑑識本はベストセラー街道を邁進し、累計発行部数は数千万部に達した。出版・メディア業界において、個人の生年月日と運気の波を掛け合わせたこの手法は、空前のブームを引き起こすことになる。
やがてテレビ番組『ズバリ言うわよ!』などを通じて、彼女は老若男女に絶対的な影響力を持つ「国民的タレント占い師」へと登りつめた。相談者に対して容赦のない言葉を叩きつけつつも、最後には人生の救済策を示す独自のスタイル。その自信に満ちあふれた態度の裏には、かつて昭和の巨頭たちと渡り合い、安岡正篤という知の巨人の傍らにいたという自負が脈々と流れていたのである。