インターネット上の健康情報やSNSでは、「腎機能の数値が悪化したらとにかく水分を大量摂取すれば良い」という短絡的な誤解が散見されます。しかし、これは極めて危険なアプローチと言わざるを得ません。
心不全や肝硬変、ネフローゼ症候群を背景に持つ患者の場合、体全体には水分が過剰に溜まって重度の浮腫(むくみ)が出ているにもかかわらず、血管内だけがスカスカになる「有効循環血漿量の減少」が生じています。この状態で無秩序に水分を補給すれば、腎血流が回復する前に肺水腫や心不全の急性増悪を引き起こし、窒息死に至る危険性があります。
また、「風邪気味で水分が摂れないときに、市販の解熱鎮痛薬を飲んで寝る」という日常の行動も大きな落とし穴です。前述の通り、脱水下でのNSAIDs服用は腎臓への血流を決定的に遮断する引き金になります。頭痛や発熱の対処として選んだ市販薬が、腎前性腎不全の直撃要因となる構図は一般にほとんど知られていません。