大切な人が沈んでいるとき、誰もが反射的に口にしがちなのが「元気出して」というフレーズです。しかし、メンタルヘルスの専門家や心理カウンセラーは、この言葉が持つ無意識の抑圧効果に警鐘を鳴らしています。
深く落ち込んでいるとき、人の心はエネルギーが枯渇し、感情の整理すら追いついていない状態にあります。そのようなタイミングで「元気を出して」と言われると、脳内では「今の落ち込んでいる自分は否定されている」「早く元気な状態に戻らなければならない」というプレッシャーへと変換されてしまいます。つまり、励ます側の意図とは裏腹に、相手には現状の感情を拒絶された感覚が残ってしまうのです。
落ち込む心理の根底にあるのは、「悲しい」「悔しい」「不安だ」という強い感情の吐露と受容への欲求です。心のエネルギーが底をついている相手に必要なのは、無理なポジティブへの誘導ではなく、暗闇に一緒に腰掛けてくれるような共感のスタンスに他なりません。