本作において、キャラクターの死は決して安易な読者へのショック療法ではない。1000年近く生き続ける鬼という圧倒的な「永遠」に対し、人間はたった100年足らずの「刹那」しか生きられない。その非対称性を示すために、キャラクターの死は不可避の要素として描かれている。
有限の命だからこそ、人は今を全力で生き、次の世代へとバトンを渡すことができる。作者・吾峠呼世晴が描こうとしたのは、死そのものの恐怖ではなく、死を超越して繋がっていく「人の想い」の強さなのだ。だからこそ、私たちは彼らの死に絶望するだけでなく、どこか救いを感じるのである。