2017年に放送されたNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』(主演・柴咲コウ)は、それまで歴史通の間でしか知られていなかった直虎の名を全国区に押し上げました。脚本家・森下佳子氏による緻密なストーリーテリングと豪華キャスト陣の熱演は、今なお高い支持を集めています。
ドラマでは、直虎を演じる柴咲コウさんの凜とした佇まいとともに、幼馴染である井伊直親(三浦春馬さん)、悲運の家老・小野但馬守政次(高橋一生さん)、宿敵でありながら複雑な関係を結ぶ今川氏真(尾上松也さん)、そして成長した井伊直政(菅田将暉さん)らが織り成す人間模様が鮮烈に描かれました。
史実とドラマ演出の対比において特に注目されるのが、小野政次との関係性です。伝承上の小野政次は「今川に阿諛追従して井伊家を乗っ取ろうとした稀代の裏切り者」として描かれがちですが、ドラマでは「井伊家を守るためにあえて泥をかぶった忠臣」として再解釈されました。歴史学の現場でも、小野氏が今川氏とのパイプを維持しながら井伊谷の共倒れを防ごうとしていた形跡が指摘されており、ドラマの演出は最新の研究潮流を巧みに取り入れたものとして評価されています。