「刺されてから何週間も経つのに赤みが引かない」「触ると皮膚の奥にしこりができている」と悩む人は少なくありません。虫刺され跡がいつまでも治らない最大の理由は、我慢できずに患部を掻きむしり、皮膚の深部まで二次的な炎症を波及させてしまうことにあります。
痒みに任せて爪を立てると、表皮が傷ついて細菌感染を起こすだけでなく、真皮層で線維化が進行します。その結果、皮膚組織が異常に分厚くなり、ゴリゴリとした硬い隆起をつくる「結節性痒疹(けっせつせいようしん)」という慢性のしこりへ移行してしまうのです。一度この状態に陥ると、通常の塗り薬だけでは改善が難しく、年単位で痒みとしこりが残るケースも珍しくありません。
また、掻き壊しによる強い炎症刺激はメラノサイトを過剰に活性化させ、メラニン色素を大量に生成させます。これが「炎症後色素沈着」と呼ばれる茶色いシミの正体であり、肌のターンオーバーが乱れていると完全に消えるまでに長い歳月を要することになります。