展望デッキへと至る階段は、正確に数えて合計114段。数字だけを聞くと一般的な中層マンションの5階から6階程度に相当し、大した負荷ではないように錯覚しがちです。しかし、実際に現地を訪れた旅行者が口を揃えて「数字以上の疲労感」を訴えるのには、特有の構造的要因があります。
タワー内部は外光を取り込む縦スリットが限定的で、外周に沿ってひたすら同じ半径の円を描きながら登り続ける設計となっています。この「視界が大きく変わらない閉鎖空間で同じ旋回運動を繰り返す」という感覚が、平衡感覚を揺さぶり、登る者の体感強度を増幅させます。中間踊り場にはわずかなベンチや手すりがあるものの、空調設備のない吹き抜け空間のため、真夏の暑い時期や真冬の寒冷期には一段登るごとの負荷が顕著に跳ね上がります。
しかし、重い足取りを引きずりながら最後の段を登りきり、ガラス張りの展望室へ抜けた瞬間、疲労感は文字通り吹き飛ぶことになります。視界を遮るもののない360度ガラス越しに広がるのは、手前に広がる富山港のガントリークレーンや大型停泊船、北側に広がるどこまでも蒼い富山湾、そして南東側に圧倒的な威容でそびえる立山連峰の大パノラマ絶景です。
海抜ゼロメートル地帯に近い臨海部から、標高3,000メートル級の急峻な山並みを一望できる地形は、世界的にも極めて稀有なパノラマ環境です。ネット上のリアルな口コミやSNSの投稿を分析しても、「途中で引き返そうかと思ったが、登り切ったときの達成感と景色が格別だった」「エレベーターで一瞬で登るタワーとは違い、自分の足で到達したからこそ広がる絶景にカタルシスがある」といった、能動的な身体体験と感動がセットになった高評価が目立ちます。