館内に足を踏み入れ、大浴場へと続く扉を開けると、そこには川の流れる豊かな音が響いている。正式名称を「裾花峡天然温泉うるおい館」と呼ぶこの施設最大の自慢は、何と言っても岩肌が目前に迫る圧巻の露天エリアだ。
目の前に広がる裾花峡の渓谷美は、季節ごとにまったく異なる表情を見せる。新緑の芽吹き、夏の深緑、燃えるような紅葉、そして冬の雪景色。湯船に肩まで浸かり、澄み渡る信州の空を見上げると、地球の鼓動をダイレクトに肌で感じているような感覚に包まれる。
ここの湯は、地下深くから湧き出る白濁した独自の源泉を含む複数の源泉を贅沢に引いた源泉掛け流し露天風呂だ。かつてこの地を治めた名将・武田信玄が傷ついた兵士を癒やしたという伝説が残るほど、古くからその効能と豊かな成分が高く評価されてきた。お湯に浸かった瞬間に肌を包み込む柔らかな感触は、一度体験すると病みつきになる。