「神戸や姫路は降っていないのに、なぜ明石だけが猛烈な土砂降りになるのか」――SNS上でも頻繁に呟かれるこの疑問には、明確な気象学的理由が存在します。いわゆる明石市ゲリラ豪雨発生の理由の核心は、明石海峡と播磨平野が形成する「局地風の衝突」にあります。
夏季を中心に、紀伊水道から淡路島の東側を通って大阪湾へと抜ける南東の気流と、播磨灘から吹き込む暖湿な南西気流が、ちょうど明石市の上空付近で正面からぶつかり合います。さらに北側には六甲山系の西端が控えているため、逃げ場を失った湿った空気が強制的に上昇気流となり、わずか十数分のうちに巨大な積乱雲へと急成長するのです。晴天から一転して冷たい風が吹き抜け、南の海側が暗灰色に濁り始めたら、レーダー画面に映っていなくても即座に屋内に退避する判断が求められます。