脳神経外科と脳神経内科の最大の違いは、病気に対する「治療手段のアプローチ(手術を行うか、薬物療法を行うか)」にあります。人間の神経系は、中枢神経(脳・脊髄)と末梢神経、そして筋肉へと繋がる複雑なネットワークを形成しています。この構造物そのものに物理的な異常が生じ、メスやカテーテルによる物理的アプローチが必要となる場合は脳神経外科の領域です。一方で、神経細胞自体の変性や代謝異常、自己免疫疾患など、内科的アプローチでアプローチする疾患を専門とするのが脳神経内科です。
かつて「神経内科」と呼ばれていた診療科が「脳神経内科」へと標榜変更を進めてきた歴史的背景も、理解を深める重要な鍵となります。日本神経学会をはじめとする関係機関は、精神疾患を扱う「精神科」や「心療内科」と混同され、器質的な神経疾患を持つ患者の受診が遅れる事態を防ぐため、2017年頃から「脳神経内科」への名称統一を強く推奨してきました。2026年現在、多くの地域中核病院やクリニックにおいて「脳神経内科」の名称が完全に定着し、脳や神経の病気の内科的スペシャリストとしての認知が確立されています。