名高達男の結婚歴を語る上で避けて通れないのが、1986年に発生したあまりにも有名な「婚約破棄騒動」である。当時30代半ば、アクション俳優として絶頂期にあった名高達男は、ある名家出身の令嬢との華々しい婚約を発表した。結婚式の日取りや新居の準備も着々と進み、世紀のビッグカップル誕生としてワイドショーを連日賑わせていた矢先、事態は急転直下、破談という結末を迎えた。
突如として開かれた単独会見で、名高達男は沈痛な面持ちで婚約解消を報告。世間は騒然となったが、その婚約破棄の理由の根底にあったのは、単なる男女の性格の不一致ではなく、相手側の家庭環境と抜き差しならない人間関係の軋轢だった。当時の芸能記者や関係者の取材手記によると、相手の母親による新生活への過度な介入や、結婚条件をめぐる一方的な要求が次第にエスカレートしていったことが最大の要因とされている。
名高達男は自らの責任を背負い込む形で泥をかぶったが、実際の現場では、独立した一人の人間としての意思決定が許されない息苦しい状況が続いていた。新居の選定や生活設計に至るまで母親が前面に立ち、娘が母親の意向に一切逆らえない姿を目の当たりにした名高達男は、「このまま婚姻関係を結べば、互いに破綻する」と冷静に決断を下したのだ。当時の特番インタビューや手記で語られた苦悩の告白は、彼がいかに誠実に悩み抜いた末の苦渋の選択であったかを物語っている。