チリ沖でこのような超巨大地震が繰り返し発生する背景には、地球規模のプレート境界型地震のメカニズムが存在します。
南米大陸の西岸では、密度の高い海洋プレートである「ナスカプレート」が、陸側の「南米プレート」の下へ年間約7〜8cmという世界屈指のスピードで沈み込んでいます。この沈み込み帯(ペルー・チリ海溝)に蓄積された莫大な歪みが限界に達し、跳ね上がることによって巨大地震が発生します。
1960年の地震によって押し上げられた海水は、同心円状の波となって太平洋を横断しました。海洋物理学の観測データによると、水深数千メートルの大洋を伝播する津波の速度は「√(重力加速度 × 水深)」で計算され、太平洋の深海部では時速約750km〜800km(ジェット旅客機の巡航速度に匹敵)で進みます。水深の深い外洋では波高数十センチ程度の緩やかな起伏に過ぎないため、航行中の船舶が気づくことすら困難ですが、その波長は数百キロメートルにも及びます。
この波が日本の浅い沿岸部に達した瞬間、海底との摩擦で急激にスピードが落ち、後続の波が追いつくことで波高が急激に跳ね上がりました。特にリアス海岸特有の狭隘な湾構造を持つ三陸海岸(岩手県・宮城県)では、V字型の湾奥に向かって海水が急激に集中・増幅され、最大6メートルを超える大津波となって押し寄せたのです。