四国4県の言葉を比較すると、同じ島内でありながらその表情の豊かさに目を見張る。香川で使われる讃岐弁は、どこか柔らかな関西風のイントネーションを持ちながらも、「うまげな(美味しそうな、見事な)」や「〜かいの」といった独特の語尾が耳に残る。一方、阿波踊りで知られる徳島の阿波弁は、「〜じょ」や「あるでよ」に見られるように、力強さと親しみやすさが同居する独特の語感を持つ。
西側の愛媛に広がる伊予弁は、「〜おいでた(いらっしゃった)」や「〜やけん」など、おっとりとした叙情的な響きが特徴だ。そして太平洋を望む高知の土佐弁は、「〜ぜよ」「〜やき」に代表される荒々しくも情熱的な語尾が際立つ。四国現地での取材を進めると、隣接する市町村同士であっても山ひとつ挟むだけで語彙が様変わりするという証言が相次いだ。この圧倒的な多様性こそが、四国言葉の最大の醍醐味と言える。