人体へ与えるダメージのメカニズムもまるで違う。ハチの武器は、産卵管が変化した針だ。一度刺されると体内に強い化学毒が注入される。この毒液は激痛を引き起こすだけでなく、二度目以降の刺傷によって抗原抗体反応が暴走し、致死的なアナフィラキシーショックを引き起こす危険がある。毎年、国内で命を落とす被害者の大半はこのアレルギー反応によるものだ。
対してアブには、ハチのような毒針が存在しない。その代わり、鋭い口器で人間の皮膚を「切り裂いて」滲み出た血液をすする。刺されるというより、物理的に肉を切り取られる激痛に伴い、皮膚が赤く腫れ上がり、強い痒みが数日間にわたって持続する。
毒液による全身性のショック症状を警戒すべきハチと、皮膚の局所的な損壊と激痛をもたらすアブ。リスクの質が根本から違うことを認識しなければならない。