表現者としての転換点を振り返る上で、特撮SF映画の金字塔となった『シン・ウルトラマン』での経験は外せない。企画・脚本を手がけた庵野秀明氏が構築する緻密な映像言語と、身体表現の極限を求める現場。そこで斎藤工が見せたのは、感情を削ぎ落としながらも内なる人間性を滲ませる圧倒的な静の演技だった。
CGと実写が複雑に交錯する極限の撮影現場で得た知見は、彼の演出論に決定的な影響を与えている。単に画角に収まる受動的な役者にとどまらず、作品全体の設計図を鳥瞰する作家の視点。庵野氏との濃密な対話を経て磨かれたその批評的リアリズムは、以後の出演作選びや自身の監督作における美学として色濃く反映されている。