ネット上のコミュニティや知恵袋、パーソナルトレーニングジムの現場を取材すると、過度な体重信仰によって心身を摩耗させる人々の生々しい声が聞こえてきます。
大手フィットネスクラブで数百名の指導にあたってきた現役トレーナーは、次のように現場の実態を証言します。
「165cmの女性会員様の多くが、初回カウンセリングで判で押したように『48kgになりたい』とおっしゃいます。しかし、骨格がしっかりしている165cmで48kgまで落とすと、顔の頬がこけて実年齢より老けて見えたり、生理が止まってしまったりする方が後を絶ちません。実際に最もスタイルが映え、周囲から『痩せた?綺麗になったね』と褒められるのは、筋肉をつけて体重が53kg〜55kgに落ち着いたタイミングなのです」
また、自著や手記で摂食障害からの克服プロセスを語った20代女性の回顧録には、数字の呪縛がいかに認知を歪めるかが克明に記されています。
『165cmで47kgまで落としたとき、骨が浮き出る自分の手足を見て満足するどころか、50kg台に戻ることが死ぬほど怖かった。毎日100g単位の変動に怯え、人前で食事ができなくなった。あの日々は美しさとは対極にあった』
5ちゃんねるやSNSの体型スレッドを精査しても、「165cmで58kgのときはふくよか扱いされたが、ピラティスを始めて同じ58kgのままウエストがマイナス6cmになり、くびれが激変した」といった体験談が相次いでいます。客観的な実体験が物語るのは、体重という単一のスカラ値がいかに人の外見の真実を覆い隠してしまうかという現実です。