かつて「東京のブルックリン」と称され始めた頃の蔵前は、職人のモノづくりと若いクリエイターの感覚が交差する実験場だった。その中で、一食のケーキやパンにとどまらない「日常に寄り添う焼き菓子」の価値を再定義したのがシノノメの誕生である。
生菓子のような華やかさや賞味期限の短さにとらわれず、日持ちがしながらも噛みしめるほどに素材の滋味が広がる焼き菓子。スコーン、マドレーヌ、クッキー、パウンドケーキ。素朴だからこそ誤魔化しが利かない王道の焼き菓子を、圧倒的な精度と美意識で仕立て直した手法は、日本のスイーツ業界におけるクラフト化の先駆けとなった。