「目覚ましが鳴った瞬間、喉が火傷したようにヒリヒリする」という訴えは、耳鼻咽喉科の外来で最も頻繁に聞かれる主訴の一つです。本来、人間は呼吸を鼻で行う構造になっており、鼻腔内の粘膜と鼻毛が外気を加湿・加温し、ウイルスや微粒子を約80%以上ブロックする高性能な空気清浄フィルターの役割を果たしています。ところが、就寝中に開口してしまうと、冷たく乾燥した外気がダイレクトに咽頭粘膜を直撃します。これがまさに、朝起きると喉が痛い原因の正体です。
睡眠中に無意識に口が開いてしまう要因は、主に3つの生体メカニズムに集約されます。
第1に、慢性的なアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症による鼻づまり口呼吸です。鼻腔の通気抵抗が上昇すると、脳は生体防御として酸素を取り込むために下顎を自然と下げ、強制的に口腔気道を確保しようとします。鼻づまりを自覚していなくても、就寝時に水平になることで鼻粘膜の静脈叢に血液がうっ滞し、夜間限定の鼻閉が起きているケースは少なくありません。
第2に、口周りの筋肉(口輪筋やオトガイ筋)の筋力低下です。スマートフォンやPC作業の長時間化により、日中から口元がポカンと開いている「隠れ口呼吸」の成人が急増しており、睡眠導入時に全身の筋肉が弛緩する際、下顎を閉鎖した状態を維持できなくなります。
第3に、後述する骨格的な特徴や肥満による気道狭窄です。舌の付け根(舌根)が睡眠時に喉の奥へ沈み込み、息苦しさを回避するために反射的に開口する代償動作が定着してしまいます。