とうもろこしを蒸す際、基準となる加熱時間は蒸気があがった状態(沸騰後)から中火で10分〜12分です。小ぶりなサイズやみずみずしい採れたてであれば約10分、実がぎっしり詰まった大ぶりな一本なら12分前後で、芯まで均一に熱が通ります。
なぜ「茹でる」よりも「蒸す」ほうが甘みを強く感じるのでしょうか。その背景には、とうもろこしの主成分であるショ糖や果糖が水溶性であるという植物生理学的な理由があります。たっぷりのお湯で茹でてしまうと、加熱中に細胞壁から浸透圧によって糖分やカリウム、ビタミンCなどの栄養素がお湯側へと抜け出してしまいます。
対して、100℃前後の気体(水蒸気)で包み込む蒸し調理では、食材と触れる水分が最小限に抑えられます。その結果、糖分の流出が劇的に抑えられ、一粒一粒の細胞内に果汁のような甘みがギュッと凝縮されるのです。さらに、とうもろこしのデンプンが糖へと分解される酵素(アミラーゼ)が活発に働く40℃〜60℃の温度帯を素早く通過しつつ、旨味を閉じ込める絶妙な熱伝導が実現します。