ステージの上でトランペットを吹き鳴らす姿に、かつての闘病の陰りは一切感じられない。ステージ3の大腸ガンを公表し、極めて厳しい手術と過酷な抗ガン剤治療に耐え抜いた桑野信義。声が出づらくなったり、手指のしびれが残るという後遺症と戦いながらも、彼は決して音楽を手放さなかった。
音楽業界の仲間たちからの熱いエールとファンからの声援が、彼の背中を強く押し続けた。リハビリを重ねて再び息を吹き込んだ管楽器の音色は、病を経験したからこそ表現できる深みと哀愁を帯びている。ライブ会場を包み込む拍手は、一人の男が過酷な運命に打ち勝ち、表現者として完全復活を果たした証なのだ。