「あたしおかあさんだから」なぜ大炎上?自己犠牲と母親の呪縛

「あたしおかあさんだから」なぜ大炎上?自己犠牲と母親の呪縛

「あたしおかあさんだから」なぜ大炎上?自己犠牲と母親の呪縛に関するポイントを詳しくまとめました。詳細な解説をご確認ください。

問題の発端となったのは、2018年2月2日にHuluで配信が開始されたオリジナル子ども番組『だい!だい!だいすけおにいさん!!』の第17回でした。NHK『おかあさんといっしょ』で歴代最長となる9年間にわたり第11代「うたのお兄さん」を務め、母親たちから絶大な人気と安心感を勝ち得ていた横山だいすけ氏がメインパーソナリティを務める冠番組です。

その中で披露されたのが、絵本『ママがおばけになっちゃった!』などのヒット作で知られる絵本作家ののぶみ氏が作詞を担当した「あたし おかあさん だから」でした。制作サイドの意図としては、「日々の育児に奮闘する母親への共感と応援歌」という位置づけだったとされます。しかし、配信直後からSNS、とりわけTwitter(現X)上では子育て中の当事者から悲鳴と激しい反発の声が殺到しました。

炎上の決定的な引き金となったのは、歌詞全体を支配していた「徹底的な自己犠牲の肯定」です。作中では、母親になる前の自由だった自分と、母親になった現在の制限だらけの生活が執拗に対比されます。

「朝から自分のご飯を食べる暇もなく立ち食いをする」「お気に入りのヒールや細いパンツを諦める」「ネイルや美容を我慢する」「泣きたくても笑顔を作る」といった具体的な描写が続き、そのすべての結びとして「あたし おかあさん だから」というフレーズが免罪符のように繰り返されました。そして最後には「あなた(子ども)の笑顔が見られるから、全部平気、これで幸せ」という情緒的な着地を見せます。

限界まで追い詰められながら孤軍奮闘している母親層にとって、この演出は応援どころか、「どれだけ理不尽な状況でも、母親なら笑顔で我慢するのが当たり前」という強烈な同調圧力として突き刺さったのです。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。