メインキャスターの座を退いて以降、大江麻理子の活動軸は一画面の「顔」から、報道全体を支える深層の「言葉」へと明確にシフトした。かつて連日連夜スタジオから生放送を仕切っていた日々から一転、現在はテレビ東京のシニアキャスターおよびフェローとして、企画の立案や後進の育成、さらには単発の大型報道ドキュメンタリー番組におけるナビゲーターとして存在感を発揮している。
過密なデイリー番組のスケジュールから解放されたことで、彼女はひとつのテーマに数か月をかける調査報道へも情熱を注ぐようになった。現場に直接足を運び、企業の経営層から市井の生活者まで等身大の言葉を引き出す取材スタイルは健在だ。「カメラの前で喋る時間よりも、現場の熱量に触れている時間の方がはるかに長くなった」と周囲に漏らす通り、報道の現場で見せる眼差しは、キャスター時代よりもむしろ研ぎ澄まされている。