霧降の滝の魅力を最大限に享受するためには、観瀑台までのアプローチと四季の移ろいを的確に把握しておく必要があります。駐車場から観瀑台へと続く遊歩道は、往復でおよそ30分から40分の手頃なハイキングコースとして整備されています。
舗装された遊歩道はブナやミズナラ、モミの原生林に覆われており、新緑の初夏から秋にかけて森林浴の清々しい空気に包まれます。途中に木製の階段や緩やかな傾斜が存在するため、ヒールやサンダルではなくスニーカーなど歩きやすい靴での来訪が鉄則です。観瀑台は二層構造になっており、上段からは木々の間越しに、下段デッキからは正面の谷を切り裂くように落ちる滝の全景を捉えることができます。
霧降の滝の美しさが極限に達するのが、例年10月下旬から11月上旬にかけて訪れる紅葉時期です。カエデやウルシ、ナナカマドが燃えるような赤に染まり、ブナやカラマツの黄金色と常緑樹の深い緑がパッチワーク状に渓谷を埋め尽くします。純白の水煙と極彩色の山肌のコントラストは、まさに葛飾北斎が描いた浮世絵の色彩世界を連想させます。
さらに健脚なハイカーであれば、霧降の滝からさらに北上し、標高約1,300メートルに位置する「霧降高原 キスゲ平園地」まで足を延ばすプランも人気を集めています。初夏(6月下旬〜7月中旬)には数十万株のニッコウキスゲが咲き誇る天空の花園であり、天空回廊の1,445段の階段からは関東平野を一望する絶景が広がります。