作中でコナンがトリックの全貌を看破した瞬間や、犯人に対して冷徹な問いかけを行う際、メガネのレンズは一面真っ白に輝き、奥にある瞳を完全に覆い隠す。この演出がもたらす最大の心理的効果は、「感情の不可読性」と「圧倒的な知性の発露」にある。
心理学における視線行動の研究では、人間の喜怒哀楽は視線の動きや瞳孔の開き具合に最も顕著に現れるとされている。だが、アニメ演出においてレンズを白く反射させることで、コナンから「子供特有の愛嬌や感情」が一瞬にして剥ぎ取られる。目の前にいるのが小学校1年生ではなく、冷徹にロジックを組み立てる「恐るべき推理機械」へと変貌したことを、視聴者や犯人に対して言葉を介さずに直感させる仕掛けだ。
アニメ制作スタッフの座談会や過去の監督インタビューでも、「普段の無邪気なコナンと、工藤新一としての鋭利な頭脳が表出する瞬間のギャップを最大限に強調するための視覚的スイッチ」としてこのカッティングが設計されている旨が言及されている。光が反射した直後、カッと片目だけが露わになって鋭い眼光が犯人を射抜くカメラワークは、緊張感が最高潮に達した合図に他ならない。