インターネット上の掲示板やSNSで囁かれる「ココイルメチルタウリンNaは刺激が強いのではないか」という懸念。結論から言えば、化粧品成分としての皮膚一次刺激性試験において、ココイルメチルタウリンNaは「極めて低刺激」と判定されており、毒性や発がん性といった危険性は一切確認されていません。日本化粧品工業連合会の安全性評価データや公的機関のパッチテスト結果を見ても、アレルギー誘発性は極めて低い数値に留まっています。
では、なぜこれほど安全な成分に「刺激が強い」という風評被害が生じるのでしょうか。取材と成分分析を進めると、主に2つの構造的要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、「スルホ基(タウリン骨格)」を持つことによる名称の混同です。かつて頭皮への脱脂力と刺激の強さから敬遠されるようになった「ラウリル硫酸Na」や「ラウレス硫酸Na」などの硫酸系界面活性剤(サルフェート)と、化学構造の響きが似ていることから、成分知識の浅い情報発信者が混同して拡散したケースが見受けられます。
第2の要因は、「洗浄実感(洗い上がりのさっぱり感)」が引き起こす感覚的な誤解です。マイルドなアミノ酸系洗浄成分の代表である「ココイルグルタミン酸TEA」などは、洗浄力が非常に穏やかで頭皮に潤いの膜を残すようなしっとり感があります。これに対してココイルメチルタウリンNaは、皮脂汚れをしっかりと洗い流す適度な脱脂力があるため、洗い上がりに「キュッ」とした引き締まりを感じます。この脱脂感を「乾燥した=肌に刺激が強かった」と直感的に錯覚してしまうユーザーが一定数存在するのです。