反町の歌手活動を語る上で避けて通れないのが、反町隆史の歌唱力と評判をめぐる議論です。リリース当時、音楽番組の生放送などで披露された歌唱に対し、一部の批評家や視聴者からは「音程が不安定」「声量が荒削り」といった辛辣な意見が投げかけられることもありました。いわゆるJ-POP黄金期のボーカリストたちが誇っていた圧倒的な高音や美声とは対極にあるスタイルだったからです。
しかし、四半世紀以上の年月を経た現在、その評価は劇的な変化を遂げています。洗練されたピッチ補正が当たり前となった現代の音楽シーンにおいて、彼の粗削りでハスキーな歌声は「男の体温と魂が宿った唯一無二のグルーヴ」として再評価されているのです。技術的な巧拙ではなく、「言葉をいかに自分の生き様として放つか」という表現力の根源において、彼のボーカルは聴き手の胸を打つ力を持っています。
ここで、反町隆史の音楽キャリアを代表する2大ヒット曲『Forever』と、翌1998年に社会現象を巻き起こした『POISON 〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜』の客観的データを比較検証してみましょう。
『POISON』が己の正義を叫ぶ「動」のエネルギーであるならば、『Forever』は静かに己の孤独と対峙する「静」の哀愁です。この双璧をわずか1年あまりの間に自作詞で世に送り出した事実は、反町隆史の歌手活動経歴がいかに密度濃く、本質的であったかを物語っています。