訪問看護を利用する際、最初に直面する最大の疑問が「医療保険と介護保険のどちらが適用されるのか」という点です。結論から言えば、利用者が自由に選べるわけではなく、厚生労働省が定める明確な優先ルールに従って機械的に割り振られます。原則として、要支援・要介護認定を受けている65歳以上の方は「介護保険」が最優先されます。
ただし、厚生労働大臣が定める「20の特定疾病(末期がん、進行性筋ジストロフィー、パーキンソン病関連疾患、ALSなど)」に該当する場合や、主治医から病状急変に伴う「特別訪問看護指示書」が交付された期間(交付日から最長14日間)は、要介護認定者であっても強制的に「医療保険」の適用へ切り替わります。また、40歳未満の若年層や精神科訪問看護(認知症を除く精神疾患)も医療保険の管轄です。
算定方式の違いも理解しておく必要があります。介護保険による訪問看護の料金は「単位数」で管理され、基本サービス費に地域加算(1単位=10円〜11.40円程度)を掛け合わせて算出されます。一方、医療保険による訪問看護の料金は診療報酬点数(1点=10円)をベースに「基本療養費+指導管理療養費+各種加算」で計算されます。一般所得者の1割負担における目安としては、介護保険なら1回(30分〜60分未満)あたり約820円〜900円、医療保険なら1回あたり約550円〜1,200円前後(管理療養費の初回加算や所定点数による)が基本ベースとなります。