名古屋駅周辺には、エスカ地下街をはじめ数多くの有名うなぎ店が軒を連ねています。そのなかで、駅から少し歩く商業ビル「アクロスキューブ名古屋」の2階に位置するしら河名駅店が、平日・休日を問わず1〜2時間待ちの列を生み出している現象は、外食産業の視点からも極めて興味深い事例です。
最大の要因は、創業半世紀を超える老舗ならではの仕入れルートと、徹底された焼きの技法にあります。同店では、時期ごとに最も脂の乗りが良い国産うなぎを厳選し、熟練の職人が備長炭の強火で一気に焼き上げます。蒸しの工程を入れない関西風の地焼き特有である「皮面の香ばしいパリッとした食感」と「身のふっくらとしたジューシーさ」が共存しており、これが舌の肥えた地元民を唸らせる原点となっています。
さらに、味の決め手となるタレの設計も秀逸です。三河特産の濃厚な「たまり醤油」をベースに数十年継ぎ足されてきた秘伝ダレは、芳醇なコクを持ちながらも後味にしつこさが残りません。最後の出汁茶漬けまで飽きずに美味しく食べ切れるよう計算し尽くされたバランス感覚こそ、競合店との大きな差別化ポイントとして評価されています。