都内の難関私立中専門塾で算数科主任を務める講師陣の手記や指導報告書によると、立体図形で伸び悩む小学5〜6年生には共通した行動パターンが存在します。「教え子の8割以上が、問題用紙に鉛筆をつけず、宙を見つめながら腕組みして頭の中で折り畳もうとする」という現場の声がその実態を雄弁に物語っています。
保護者面談でも「うちの子は空間認知能力が生まれつき低いようで、展開図が全く解けません」という悩みが数多く寄せられます。しかし、認知心理学および教科教育学の観点から見れば、これは能力の多寡ではなく作業化・記号化の訓練不足に過ぎません。
入試で満点を取る層は、決して頭の中で精緻なCG動画を再生しているわけではありません。彼らは問題用紙を配られた瞬間、平行な面に「○・×・△・□」の記号を振り分け、外周の頂点に素早くナンバリングを行い、三次元のパズルを極めて乾いた「二次元の記号一致ゲーム」に還元して解いています。感覚に頼る生徒ほど疲弊し、ルールに従って手を動かす生徒ほど短時間で完答するというのが、受験指導の最前線で観測される紛れもない事実です。