飾り切りに挑戦した人の多くが直面する失敗が、「時間が経つにつれて果汁が溢れ出し、器が水浸しになって形が崩れる」という現象です。スイカは水分の含有率が約90%以上に達するため、果肉を細かく刻めば刻むほど細胞壁が壊れてドリップ(離水)が発生します。
ネット上の美しい写真だけを模倣して前日に作り置きしてしまうと、当日には果肉がしぼんで白い皮の部分が茶色く変色してしまいます。立体的な造形やバスケットを作る場合は、提供する直前30分〜1時間以内に仕上げるのが基本原則です。どうしても事前に準備したい場合は、皮の器だけを前日に成形してラップで密閉冷蔵し、果肉のカットと盛り付けは直前に行うセパレート方式を採用するのが鉄則です。
また、タイの伝統工芸に代表される本格的なスイカカービング入門を目指す場合、果皮に精緻な花びらを刻むスイカ飾り切り花の技法には専用のカービングナイフが必要不可欠です。三徳包丁の刃先だけで細密な曲線を彫ろうとすると、刃の厚みで皮が割れてしまいます。道具の適性を正しく理解し、無理な彫刻を避けることが失敗を防ぐ最大の近道です。