結論から述べると、東日本大震災の直前に「地震の前兆として発生した特殊な雲」が存在したという科学的証拠は一切確認されていません。当時、被災地周辺や首都圏の空に見られた特徴的な雲は、すべて春先に典型的な気象条件によって説明がつく大気現象でした。
2011年3月11日当日の日本列島周辺は、西から気圧の谷が接近し、上空には冷たい空気が流れ込んでいました。大気の状態が不安定になる過程では、上空の風速差や湿度の変化によって、筋状の雲や波を打ったような形状の雲が広範囲に発生しやすくなります。このごく自然な気象プロセスによって現れた空の様子が、巨大地震の発生という衝撃的な出来事と直結させられ、「前兆としての地震雲だった」と語り継がれることになりました。