村井嘉浩氏の統治スタイルを読み解く上で欠かせないのが、地方自治体の首長としては極めて珍しいその経歴です。1960年大阪府生まれの村井氏は、防衛大学校(理工学専攻)を卒業後、陸上自衛隊へ入隊。ヘリコプターパイロット(幹部自衛官)として東北方面航空隊などに勤務した現場指揮官の出自を持ちます。
自衛隊退官後は、松下幸之助が設立した松下政経塾(第13期生)に入塾。国家ビジョンと人間教育の薫陶を受けました。1995年に宮城県議会議員に初当選し3期務めた後、2005年に前知事の任期途中の辞任に伴う知事選へ出馬し、激戦を制して初当選を果たしました。
自衛隊で叩き込まれた「有事の指揮系統・即断即決のリアリズム」と、松下政経塾仕込みの「経営感覚を取り入れた国家・地域経営」のハイブリッドこそが、村井県政の屋台骨です。2011年の東日本大震災では、甚大な被害を受けた宮城県の司令塔として陣頭指揮を執り、被災地での迅速な仮設住宅整備や水産業復興特区構想など、前例に囚われない復旧・復興策を断行しました。
震災復興の実績と発信力を背景に、2023年には全国知事会会長に就任。地方自治体のリーダーとして政府や中央省庁に対する提言活動を精力的に行い、地方創生や少子化対策、外国人材受け入れ施策など、国政レベルの政策形成にも強い影響力を発揮する存在となっています。