巨匠の真骨頂は、ヒット作の型に依存しない貪欲な挑戦姿勢にある。食漫画のジャンルに切り込んだ『大食い甲子園』では、大食いという異色のテーマを通じ、情熱や挫折、人間の業を描き出した。単なるグルメ漫画の枠を超え、熱いスポーツものの熱気と心理戦を見事に融合させた作品だ。
講談社や双葉社といった大手出版社を縦横無尽に渡り歩きながら、時代ごとに全く異なるジャンルへ挑み続けた実績は、漫画業界全体を見渡しても極めて異彩を放つ。哀愁漂う中年男性の日常から、風刺の効いた社会派サスペンスまで、彼の生み出した作品群は常に時代の空気を先取りしていた。