ネット空間や口コミ情報には、虫刺され跡のケアに関する危険な誤解が蔓延しています。良かれと思って行った自己流処置が、かえって肌に深刻なダメージを刻み込む結果になりかねません。
最も典型的な誤解は、「赤みが引いた後の茶色い黒ずみにもステロイド軟膏を塗り続ける」という行為です。ステロイド外用薬はあくまで急性期の炎症を抑える薬剤であり、沈着したメラニン色素を分解・排出する効能はありません。炎症が鎮火した黒ずみに対して漫然とステロイドを連用すると、皮膚萎縮や毛細血管拡張などの副作用を招き、かえって肌の透明感を損なう結果となります。
また、「爪でバツ印をつけて痒みを我慢する」「熱いシャワーを当てて痒みを麻痺させる」といった昭和・平成から続く民間療法も極めて危険です。一時的に痛覚で痒み神経をマスクできても、局所の真皮組織に強い物理的・熱的ダメージを与え、組織の線維化(しこり化)やメラノサイトの再刺激をダイレクトに引き起こします。痒みに対しては、保冷剤をタオルで包んで患部を10〜15分程度局所冷却することが医学的に最も安全で理にかなった対処法です。