ネット上には「ミックス犬(雑種)は病気をしない」「純血種は体が弱い」といった極端な言説が散見されます。しかし、近年の疫学統計はその俗説に冷や水を浴びせています。
一般社団法人ペットフード協会などの最新調査および獣医大学の大規模統計によると、犬の平均寿命 2026年最新の指標において、家庭飼育犬の全体平均寿命は14.2〜14.8歳の高水準で推移しています。小型犬では15歳を超える長寿犬が当たり前となる一方、大型犬は10〜12歳、超大型犬は8〜10歳前後という格差構造自体は依然として解消されていません。
さらに注目すべき盲点は、「平均寿命」と「健康寿命(介護を必要とせず自立して生活できる期間)」の間に横たわる約1.5〜2年のギャップです。
良質なプレミアムフードの普及、獣医医療機器の高度化(CT・MRIや分子標的薬の普及)、室内飼育の徹底によって、重篤な疾患を抱えながらも生命を維持できる期間は飛躍的に延びました。しかしその結果として、夜鳴きへの対応、床ずれ(褥瘡)の防止、流動食のシリンジ給餌といった濃厚な在宅介護期間が長期化する構造が生じています。長寿化を手放しで喜ぶだけでなく、「寝たきりにさせない健康寿命」をいかに延伸させるかが真の課題です。