事件現場の鑑識作業を指揮する警視庁と、最新の高度解析技術を投入する科学捜査研究所(科捜研)の手元には、膨大なデジタルデータが積み上がっている。防犯カメラのフレーム補正技術や微物鑑定の精度は年々飛躍しているものの、歳月の経過がもたらす物理的な風化とデータ欠損は依然として大きな壁だ。
科学捜査が突きつける客観的事実と、捜査員の執念が交差する現場。微小なDNA断片の検出に成功したものの、それが事件発生時の直接的な関与を示すか否かについては慎重な議論が続く。デジタルフットプリントの復元は有力な武器でありながらも、完璧な証拠網を編み上げるには至っていないのが現実である。