画面越しには冷静沈着なエリートアナウンサーに見える武田真一ですが、家庭内での子育て現場は試行錯誤と泥臭い努力の連続でした。その代表例が、メディアでも大きな話題を呼んだ「毎朝のお弁当作り」のエピソードです。
息子たちが中高生の頃、武田真一はNHKの夜7時の看板番組『ニュース7』のメインキャスターを務めていました。午後から深夜にかけて報道フロアに詰める過酷なシフトの中、早朝に起きて息子たちのために手作り弁当を用意していたといいます。単に詰めるだけでなく、時には海苔を器用に切り抜いた「キャラクター弁当(キャラ弁)」に挑戦するなど、仕事の激務を言い訳にせず子どもと向き合う時間を作り出していました。
特番インタビューにおいて、武田真一は当時の心境をこう述懐しています。「夜のニュースを担当していると、平日は子どもたちが起きている時間に顔を合わせることがほとんどできない。お弁当箱は、父親が君たちのことを見守っているという、唯一のメッセージカードだった」。
思春期特有の反抗期には、会話が途絶えがちになる時期もあったと率直に告白しています。武田真一が話しかけても生返事しか返ってこない日々の中、救いとなったのが共通の音楽でした。リビングに置いたギターを息子がつま弾き、それに武田真一がコードを合わせる。言葉による説教ではなく、音の共鳴と美味しい手料理を通じて心の導通を保ち続けたというエピソードは、多忙を極める現代の親世代に深い共感を呼んでいます。