伊勢神宮では年間約1500回もの祭祀が行われますが、その中でも最も重要とされるのが、毎年10月に斎行される「神嘗祭(かんなめさい)」です。その年に収穫された新穀を天照大御神へ最初に捧げ、恵みに感謝するこの祭礼において、祭主は中心的な役割を果たします。
神嘗祭の奉仕は、想像を絶する厳酷さを極めます。祭儀に先立ち、清子様は都内の日常を離れ、神宮内の潔斎館(けっさいかん)に籠もって厳格な精進潔斎に入られます。外との接触を断ち、冷水で心身を清めた後、深夜の張り詰めた寒気の中、重さ数キロにおよぶ伝統装束を身にまとい、玉砂利の参道を一歩一歩踏みしめて内宮の正宮へと進まれます。
深夜22時や未明2時といった漆黒の闇の中、篝火(かがりび)の明かりだけを頼りに、長時間にわたり微動だにせず正座し、祝詞を奏上して幣帛(へいはく)を奉る姿は、神宮関係者をして「まさに神と人との間を取り持つ無心の境地」と言わしめる過酷な神事です。神嘗祭のほか、2月の祈年祭、11月の新嘗祭など、清子様は年間約10回から15回ほど三重県伊勢市へ赴き、これらの重儀を滞りなく奉仕されています。
一部のネット掲示板やSNSでは「皇族出身の祭主だから年収数千万円単位の特別給与が出ているのではないか」といった噂が囁かれることがありました。しかし、内情を取材した結果判明しているのは、祭主は専任の給与所得者ではなく、「無報酬に近い名誉職」であるという厳然たる事実です。
神宮関係者によると、東京と伊勢を往復する新幹線代や現地での宿泊滞在費、装束の維持管理に充てられる必要経費(実費弁償)や、祭礼ごとの僅かな祭祀料が宗教法人神宮から支払われる程度であり、民間企業の役員報酬のような定期昇給や高額ボーナスなどは一切存在しません。都内の一般的な住居で慎ましやかな生活を送る黒田ご夫妻の生計は、夫である慶樹氏の東京都職員としての給与などを主軸として成り立っており、祭主の務めは私利私欲とは完全に切り離された「純粋な奉仕の祈り」なのです。