冷涼で乾燥したヨーロッパで誕生したオールドローズやクラシックなモダンローズは、梅雨から猛暑にかけて高温多湿が続く日本の気候下では、激しい黒星病(黒点病)やべと病に晒されやすい弱点を抱えていました。毎週末の農薬散布に疲れ果て、バラの育成そのものを諦めてしまう愛好家も少なくありませんでした。
この宿命的な課題に終止符を打つべく立ち上がったのが、埼玉県杉戸町のバラ専門店「バラの家」の代表であり、世界的育種家として知られる木村卓功(きむら たくのり)氏です。木村氏は自著や専門誌のインタビューにおいて、「誰もが気軽に、特別な技術や重装備の農薬散布なしでバラの美しさを享受できる時代を作りたい」と一貫して語り続けています。
2012年に始動した「ロサオリエンティス(東洋のバラ)」は、アジアの気候風土を前提とした選抜育種を徹底。さらに2020年以降、育種技術の極致として発表されたのが「ロサオリエンティス プログレシオ(Progresso)」シリーズです。過酷な無散布試験を潜り抜けた個体のみを選定し、従来のバラとは一線を画す強靭さと、繊細な花形・芳香の両立に成功しました。