私たちが普段何気なく口にしている「し」から始まる料理には、歴史的な変遷や流通の技術革新が深く関わっています。
第一に、生しらす丼の普及です。水揚げから数時間で鮮度が落ち、かつては沿岸部の漁師町でしか食べられなかった生しらすですが、水産加工業界におけるプロトン凍結・液体窒素凍結技術の導入(マイナス30℃以下の急速冷却)により、内陸部の飲食店でも獲れたてと遜色ない透明度と食感を楽しめるようになりました。
第二に、しゃぶしゃぶの発祥と進化です。公式な食文化記録によると、昭和初期に京都の料理店が中国の火鍋(シュワンヤンロウ)をヒントに牛肉を用いて考案した「牛肉の水炊き」が原型とされています。現在では豚肉、ブリ、タコ、カニなど多種多様な食材へと裾野が広がり、訪日外国人観光客の間でも「日本を代表するヘルシーな肉料理」として不動の人気を獲得しています。