このエピソードが収録されているのは、てんとう虫コミックス『ドラえもん』原作第25巻収録「まあまあ棒」(初出:『小学四年生』1981年9月号)です。テレビアニメ版でも大山版・水田版の双方で複数回にわたり映像化されています。
物語の発端は、いつも通りジャイアンに漫画を取り上げられ理不尽に殴られそうになったのび太を救うため、ドラえもんが道具を取り出したことでした。効果を確信したのび太は調子に乗り、わざとジャイアンを煽っては「まあまあ」と怒りを力づくで引っ込めさせる行為を執拗に繰り返します。事態の危険性に気づいたドラえもんが「怒りを溜め込みすぎると体が破裂する」と青ざめたときには、すでにジャイアンの腹部は怒りのガスでパンパンに膨れ上がっていました。
ドラえもんとのび太は慌ててジャイアンの怒りを発散させようと奔走しますが、真の悲劇は別の場所で静かに進行していました。のび太がうっかり激怒させてしまったしずかちゃんに対しても、反射的に「まあまあ棒」を使って口を塞いでしまったのです。普段から感情を荒らげないしずかちゃんの内面に高密度の怒りが充填され、物語は誰も予想しなかった破局へと突き進みます。