配給を手掛けた東宝株式会社にとっても、本作は極めて野心的な挑戦だった。従来のヒットの方程式であるわかりやすい勧善懲悪やティーン向けの演出を一切排除し、大人の鑑賞に耐えうる重厚なトーンを一貫して維持したからだ。
日本映画製作者連盟の最新データを見ても、本作が記録した初動動員数はオリジナル脚本の実写映画として異例の数値を叩き出している。ハリウッド大作や大型アニメーションが市場を席巻する日本映画界において、重厚な作家性と商業的な成功が両立し得ることを証明した意義は極めて大きい。関係者の間では、国内の賞レースのみならず海外の主要映画祭での評価にも期待が高まっている。