地元警察への寄付を惜しまず、地域社会の信頼を一身に集める穏やかな名士。それが、ファストフードチェーン「ロス・ポヨス・エルマノス」の経営者であるガス・フリングの表の顔だ。しかし、その爽やかな笑顔のすぐ裏側には、米南部からメキシコにかけて広がる巨大な覚醒剤帝国を統括する冷酷非道な麻薬王の素顔が隠されていた。
感情をめったに表に出さず、声のトーンひとつ変えずに粛清を命じる姿は、従来の威圧的なギャング像とは一線を画していた。徹底した合理主義と整然としたロジック。彼の存在が作品の緊張感を極限まで高め、極上の心理サスペンスへと昇華させたことは間違いない。